相続や住所・氏名の変更登記の義務化について
民法や不動産登記法の改正法案が、2021年4月1日に衆議院で可決されました。参議院で可決後、今国会で成立の見込みです。主な改正点として不動産の「相続登記」、「住所・氏名変更登記」の義務化が挙げられます。
社会問題になっている「所有者不明土地問題」、「空き家問題」を解消することが一つの狙いです。
今回は、その法案の概要についてご説明致します。
- ● 現行の法律では、相続登記や住所・氏名変更登記は義務ではない ●
土地建物の所有者が亡くなると、通常、遺産分割協議などを経て、所有権は相続人又は受遺者(遺言による遺贈で財産を受ける人)に移転します。これを法務局(登記所)に申請して、登記簿上の所有者を変更する登記をします。これを相続(又は遺贈)登記といいます。また、不動産所有者の住所や氏名に変更があったときに行う登記のことを所有権登記名義人住所(又は氏名)変更登記といいます。これらの登記は、原則として所有者等からの申請によりなされますが、仮に怠っても罰則はないため、手続きの複雑さも相まって長年申請がされず、故人名義のまま、もしくは所有者の住所等が現在のものとは異なる記録のまま、数十年放置されてしまうこともあります。
- ● 法改正で義務化と過料の規定が追加されます ●
今回改正が予定されている不動産登記法では、これらの登記が義務化されます。相続(相続人に対する遺贈も含みます)により不動産の所有権を取得した人は、原則としてそれを知ってから3年以内に相続又は遺贈の登記を申請しなければならず、正当な理由なくそれを怠った場合に10万円以下の過料に処されることが定められます。
同様に所有権登記名義人住所(又は氏名)変更登記も義務化され、変更の日から2年以内の申請を正当な理由なく行わなかった場合は、5万円以下の過料に処されることになります。
- ● 義務化に向けた早めのご準備を ●
改正法の施行は原則、公布後2年以内が予定されていますが、相続登記の義務化は3年以内、所有権登記名義人住所(又は氏名)変更登記の義務化は5年以内となる予定です。今回ご説明した義務化以外にも様々な制度改正が予定されており、不動産登記制度が大きく変わることになります。いざというときに慌てないためにも、早めに相続の専門家にご相談されることをお勧めします。
OAG行政書士法人では、司法書士・税理士など各種専門家と連携し、ワンストップで相続サービスを提供します。相続登記はもちろん、遺言の作成などの生前対策や遺産整理に関するご相談も承ります。お気軽にお問合せください。